猫を狂わせるダ・バード

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自分のためにお金を使うことは難しい。すぐに「もったいない」とあきらめて、買うのはせいぜいお菓子くらい。

だが家族のための買いものは容易い。今日は猫のおもちゃを買ってしまった。

「ダ・バード」。
本物の鳥の羽がついた、猫じゃらしだ。竿が長いから、小さな動きで大きく遊ばせることができる。

「これがあれば母も猫たちと遊べるだろう」

と思って買ったんだけど。
大間違いだった。
とてもじゃないが、母には使いこなせない。
猫が興奮しすぎて危険だからだ!

羽が臭うのだろうか? 梱包を解いたとたんにシシィがちょっかいを出していた。
・・・いや、待って待って!
猫に背を向けながら竿を組み立て、糸を出す。

鳥の羽が、ひょーい! とぶら下がった。
まるで本物の生き物のような、小鳥みたいな虫みたいな動きになった。

「うおおおおお!」
「鳥さんだーーー!」

猫たちが狂った。

今までの猫じゃらしとは全然違った。目の色が変わり、遊びではなく本物の獲物を追いかけているような動きで襲撃してくる。

動きが速すぎてスマホで写真なんか撮れない。撮ってる場合じゃない。猫たちはものすごいスピードで追いかけてくるのだ。息つくひまもないダッシュ、ターン、そしてスーパージャンプ!・・・あらゆるものを壊しつつ猫たちは家中を駆けまわる。

私はダバード(猫じゃらし)を振りまわし、猫たちから逃れようと必死だった。

「ぼくの鳥さーん!」
「あたしの獲物よ!!」

サンジもシシィも激しく飛び回り、転げ回って羽を追いかけた。

そして。


(獲ったーーー!)

とびかかられた勢いで竿がすっぽぬけ、シシィは見事、鳥さんをゲットした。
「あっ、食べたらダメ!」
この羽けっこう高いんだよ! ちぎらないでお願い!

猫たちの動きに私がついていけないのと、買って5分で壊されるのは嫌なので、「本日終了」ということにした。ダバードは、タオルとバスタオルで二重のぐるぐる巻にして隠した。

すると猫たちは部屋中をさがしまわった。
「あれ? 鳥さんは?」
「どこいったの?」

サンジは鼻がきかないが、シシィはバスタオルにくるまれたダバードを発見してしまった。
「もっと! もっと鳥さんとあそぶにゃーーー!」
ダバードが人気のあるおもちゃだとは知ってはいたけど、ここまで凄いとは思わなかった。たしかに運動不足解消には良いかもしれないが、私が疲れてしまっては意味がない。これどこに隠そう…。

コメント

  1. 本物の羽根、毛皮、容赦なく破壊されます。
    うちは食器棚の中に隠してありますが、扉を開けるとみんな飛んできます。
    たまには遊ばせて、ストレス解消、と思いますが…つい面倒で💦

    • 食器棚の中!
      すごいところに隠しましたね(笑)
      >たまには遊ばせて、ストレス解消、と思いますが…つい面倒で💦
      そうなんですよねー。
      猫釣り、意外に体力いりますよね、エンドレスですし…。
      自分たちで勝手に遊んでくれたらいいのにー。

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