希望が見えた?

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退職後、生活不活発病になっちゃって、どうしようもないうちのオヤジ。どれくらいどうしようもないかっていうと、なにしろ汚い。汚くて臭い。あんまりなので詳細は控えるが、私は毎日のように
「今すぐ風呂に入れー!」
と怒鳴っている。当初はアメとムチでうまくやるつもりだったのだけど、今のオヤジにはアメなんか役に立たなくて、怒鳴らないと絶対に風呂に入らない。風呂だけじゃない。他にも私の怒りポイントは無数にある。

でも毎日、怒鳴っていたら、疲れてきた。まあいいやって思うようになった。

タバコを吸うのも病院へ行かないのもオヤジの自由だ。オヤジの人生だ。長生きしたくないんだったらしないで好きにすればいい。・・・ただし、風呂には入れ。

一つ、手立てを講じた。動かないオヤジを動かす作戦。それは将棋サークルだ。オヤジはタブレットの将棋アプリで遊んでいるが、生身の人間あいてには長らく指していない。将棋友達ができれば生活に張り合いが出て、今の状況から抜けだせるかもしれない。

そこで私は地元の将棋サークルを探した。オヤジのスマホから申し込みメールを打ち、約束をとりつけて返信をかえし、場所と時間をオヤジに教えた。

意外なくらいオヤジは喜んだ。知らない人に会うなんてめったにない機会だから。しかも将棋を指すことができるのだから。何日も前から楽しみにしていたようで、前日にはもうソワソワしはじめ、今日は3ヶ月ぶりに自分で起きた。約束は午後からなのに、シャワーを浴びて11時前にはでかけていった。

「おとうさん、大丈夫かなあ」
母が心配した。
「ちゃんと行けたかな。迷子になって泣いてないかな。『将棋の人たちに会えなかった』ってしょんぼり帰ってきたらどうしよう」
70才のオヤジがまるで小さい子供のように(だが有り得るのだから怖い)。

オヤジが帰宅すると
「どうだった!?」
2人で声をそろえて尋ねた。
「うん、楽しかったよ!」
オヤジはちょっぴり顔をほころばせた。
「初段の人にね、勝ったんだ」
・・・きっと手加減してくださったのだろうけど、それは言わないでおいた。
来週も行けそう?
「もっちろんや!」
こらえきれずに破顔した。
来週の土曜日を想像しただけで笑顔になれるのだ。希望があるってすばらしい。オヤジにとってもおでかけは最高のリハビリだ! 将棋の友達に恥ずかしくないように、ちゃんとお風呂に入ってくれることを祈ります。

本日の猫写真。

サンジ君はほっぺたの後ろを引っ張られるのが好きです。むちゃくちゃ伸びるので「頬袋」と呼んでいます。

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