猫のおみやげ

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草木も眠る。
深夜2時。
ふいに、夜のしじまが破られた。
「わああああああ!」
オヤジの声だ。
・・・どうした、何があった!?
びっくりして飛び起きたら、
「シシィーーーー! もう、やめてくれえええ!」
猫を叱りつける言葉がつづいた。
起きていってみると、オヤジが泣きそうな顔で訴えた。
「あのな、ふっと目が覚めたらな、眼の前にな、これが置いてあってん!」
枕元・・・顔から10センチのところに置かれた、ヤモリの死骸。
シシィの獲物だ。

虫は獲ってもいいけどヤモリは駄目、と私は猫たちに言い聞かせている。ヤモリは「家守」。嫌な虫を食べてくれる益獣だから。

もちろん猫は猫だから私のいうことなんか聞きやしない。ただ、シシィは私に叱られることはわかっているのかもしれない。
「おとーさん、見て見て! あたし、やっつけたの!」
獲物を見せびらかす相手をオヤジに選んだ。不幸なオヤジは、目が覚めたら至近距離にヤモリの死骸があったもんだから、びっくりして飛び起きた、というわけだ。

母にしがみつくシシィさん

「食べたらダメ」とヤモリを取り上げたら、シシィさんすっかり拗ねてしまった。

猫がおみやげを持ってくるのは、自慢したいのか、それとも養ってくれているつもりなのか。猫が何考えてるのかなんてわからない。とにかく言えることは「むちゃくちゃ要らない」ということだ。