バリバラ「きょうだいの悩み」を見て

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NHKの『バリバラ』の今日のテーマは「”きょうだい”(障害者のきょうだい児)の悩み」だった。番組が始まるちょっと前まで母の病院にいた。
「あんたこれ見る?」
と母がきく。・・・うーん。なんか今更だしねえ。
と言いながら帰ってやっぱり見た。ご飯作りながらざっくりなんだけども。

知的障害者の女性とその家族の話。妹と弟は、子供の頃からかなりしんどい思いをして育ったようだ。障害のある姉は、自分から話しかけたり意思表示することができず、生活の一切を母親に頼っているようだった。

ところがだ。姉が日中を過ごしている障害者施設を訪れた妹は衝撃を受ける。家とはぜんぜん様子が違ったからだ。いきいきと話し、笑い、自分の意思を伝えている。

妹は、姉と2人で外出をしようと考えた。まずはお散歩から始めよう。姉は歌ったり、妹の手を引いて歩いたり、楽しそうだ。古着屋ではバンバン服を買っていた。
「これまではずっと母が買った服を着ていたので姉の好みなどは知りませんでした」
と妹は話す。

・・・なんていうかわりと過保護で気の毒な家庭のイメージを受けました。
兄弟と向き合うって大事ですね。でも向き合いすぎると壊れるから気をつけたほうがいいかも。

30分と短い番組だし、穏やかでライトな内容だった。きょうだいの苦悩が吐露されたのは触りの「皆様からのお便り」の部分だけ。本当はそっちが大事だと思うんだけどね。

きょうだい児の悩みというのは、主にこんな感じだろうか。

・障害をもつきょうだいがいることで、自分の人生が阻害される(いじめに遭う、就職や結婚に支障をきたすなど)
・将来、自分が世話をしなければならない
・きょうだいが好きになれない

もっというと
「関わりたくない」
てことになる。
付け加えるなら、それに伴う罪悪感だろうか。

今日は子供たちがいないので平和に休めます

私は37年間きょうだい児をやっているのでちょっと言う。
言ってはいけないのかもしれないけれど言う。
悩めるきょうだい児諸君。
とりあえず全力で逃げろ。難しいと思うけどできれば逃げろ。できる限り逃げろ。きょうだいのために自分を殺してはならない。自分を守るため、そして障害のある兄弟を守るために逃げろ。

「きょうだいが好きになれない」
って、考えてみればそんなに珍しいことじゃない。
若い頃はわかんないけど大人になれば憎しみ合う兄弟なんてザラにいる。縁をきってる兄弟もザラにいる。介護が必要になっても兄弟ってそんなに看ない。珍しいことじゃない。よくあることなんだ。「障害者だから」ってそんなに後ろめたく思わないでもいいと思う。

障害者のきょうだいだからって、普通以上に優しくできるわけじゃない。障害者のきょうだいだからって、我慢強いわけでも、タフなわけでもない。無理なことは無理!

物理的に逃げることができれば、人生を阻害される可能性は低くなる。親が全面的に介護を引き受けることになるが、そこはもう周りに助けてもらうしかない。きょうだいが若いうちから
「私が死んだら弟のことは頼むね」
っていう親はちょっと毒入ってると思う。自分の死後のことを考えず、子供の人生を犠牲にすることを厭わない親よりも、きょうだいよりも、まずは自分を大事にするべきではないだろうか。

問題なのが、どうやって距離を置けばいいのか分からないってこと!
兄弟ってこの国の法律では扶養義務があるからね!

うちは親が突然倒れたのでだいぶ泡を食った。悩んだあげく私は妹を施設に入れた。迷っているとき、まわりの人に
「U子ちゃんを自立させてあげましょう」
といわれて目がさめた。
一般的に大人になれば兄弟ってそんなにベタベタ付き合わないものだ。離れて暮らすのが普通だろう。「障害があるからずっとこのまま家で、地域で」ってそんなの差別やん。本人だって、いつまでも家族に子供扱いされたくないだろう。

番組でも最後のほうに言っていた。
「近づきすぎないこと」
が大事だと。
きょうだいは親とは違う。
距離感を保たなければ、こちらの人生が壊れてしまう。
逆に、きょうだいが障害者の人生を壊してしまうこともある。
そりゃあ仲良く助け合って生きていけたらいいけれど、そうでなかったら、お互いのために・・・全力で逃げろ。距離を置いて安全なところに逃れることができたなら、新たな関係性がうまれる、かもしれない。

・・・あ、バリバラの話あんまりなかった。