草木も眠る丑三つ時。私は何かを感じて目が覚めた。何だろう? こちらを伺う気配のような…視線のような。
足元で丸くなっていたシシィも気づいたらしい。警戒している。視線を定め、姿勢を低くして身構えている。そこには何もいない・・・ように見えた。
突然、シシィはベッドを蹴って飛び降りた。小さな生き物の気配が床をササササッと走った。
私は叫びそうになった。たとえ暗闇の中でも間違えようのない、いやらしい虫の気配。この動き。この視線。Gだあ!
びびりまくる私とは逆に、シシィは嬉々としてGに襲いかかっていった。さすが猫である。次々とくりだされる猫パンチ! 執拗な待ち伏せ! 狩猟本能、全開だ。
「行け、シシィ! 頑張れ! いてまえ!」
私は明かりをつけ、安全なところ(ベッドの上)からシシィに声援を送った。
格闘の末、シシィはとうとう部屋の隅に敵を追い詰めた。
「やっつけろー!」
そしたら、ヤツは。
開き直った。
窮鼠猫を噛むというか。
窮ゴキ羽ばたくというか。
飛んだのである。
ぶううううん。
私の顔をめがけて一直線に。
「ぎゃああああ!」
私は情けない悲鳴をあげて逃げ出した。
「なんでこっちくるねん!」
ベッドから転がりおちるようにして部屋をとびだし、階下のリビングまで逃げた。飛んでくるGはあまりにも嫌すぎた。
そのあともシシィはだいぶ頑張っていたが、逃したのだろう。しょんぼりと階下におりてきた。私はそのままリビングで夜明かしして、朝になると、シーツから枕カバーからすべて引っ剥がして洗いまくった。
そんなわけでまた寝不足です。
おやすみなさい…。