母と猫、ベッドをめぐる戦い

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「七夕が終わったから」といって母がデイサービスから短冊を持ち帰ってきた。
今年の母の願いとごと。

「いっぱいヴァイオリンが弾けますように 浩美」

願いごとというより、どっちかっていうと私へのプレッシャーだよね? 本当は「一人で弾けるようになりますように」って書きたいのだろうけれど。

そんな母の近頃の悩みは、猫のシシィである。シシィは母のベッドを自分のナワバリに決めており、母がやってくると
「ここは私の!」
と領有権を主張する。
「違うよ、おかーさんのベッドだもん!」
母も負けずに言い返す。

そこで毎回、場所取り合戦が繰り広げられる。
だが勝敗はいつも同じ。強靭なシシィは、踏まれても蹴られてもびくともしない(そんなに痛いことはしていません)。
それどころか!

おばあちゃんキックをくりだす母。噛まれても大丈夫なようにスリッパ着用です

「シシィったらずるいのよ。私は右足しか動かせないのに、シシィは4本足で猫キックしてくるんだもん。痛くって。ときどき歯もつかうし」
小さくたって肉食動物。ケンカをしたら母がかなう相手ではないのだ。

最終的にシシィは母の左足(麻痺側)を枕代わりにもたれかかって眠る。左がウィークポイントだと見抜いた上での、鬼畜の所業である。
弱々しい声で
「すーごい暑いねんけど、なんとかしてくれへんかなあ」
と私に頼む母が不憫である。
そこで私がシシィを抱き上げ、強制連行して、ベッドをめぐる戦いは終わる。

「なんで私がどかされるのよー!」
ってシシィさんは怒ってるけど、ごはんを食べたらすぐ忘れる。