職場のデイサービスで紅葉をみにいった。
ご近所のただの並木道が、秋の日ざしに照り輝いていた。
赤や黄色やオレンジや・・・目もくらむほどに美しかった。
「わあ、すごい色!あれみて!」
「きれいやなあ」
「なんときれいな!」
利用者さんたちは口々に感嘆した。
それで思い出した言葉がある。
「きれいなものを「きれいだ」と、感じられるのは幸せなこと。
ましてそれを口にだせるのは、素晴らしいことだ・・・心が健全な証拠だから」
考えてみれば紅葉なんて珍しくもないはずだ。
利用者さんたちはもう百年近くも生きていて、秋がめぐるたびに紅葉を見ただろう。
それでも見飽きたとは言わずに
「きれいだ」
という。
あたりまえのことにちゃんと感動できるのは、やっぱり素晴らしいことだと思う。
帰りがけに一人の利用者さんが言った。
「こんなきれいな所に連れてきてもらえて、幸せや」
と。