「昔はよかった」と言う理由

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「昔はよかった」
と愚痴ってばかりいる人に出会った。悪い人じゃないんだけど、昔は良かったばっかり言ってるから、かなりイライラした。私とそんなに年も変わらない人なのに、どうしてなんだろう?
どうして人は
「昔はよかった」
と言うのだろう?

・・・理由を考えてみた。

1)思い出補正
思い出は美化されるもの。嫌なことは忘れて、良いことばかりを記憶するようにできている。かつて「昔の音楽は良かった」と言われた山下達郎が「それは当たり前ですよ。だって、良いものしか歌い継がれないんですから」と返したとか。

2)昔のほうが元気だったから
年々、体の自由がきかなくなってくる。目も耳も悪くなってくる。テレビを見て「今時のタレントは活舌も発生も悪くて何をしゃべってるのかわからん、近頃のテレビはなっとらん!」と怒っていたら、実は聴力が衰えたせいだった、という話が佐藤愛子の『九十歳。何がめでたい』にあった。昔はよかった、という言葉は実は昔の社会のほうが良かった、のではなくて
「昔の自分は今より元気で暮らしやすかった」
ということかもしれない。

3)過去の栄光
孫に「クソ爺!」とか言われて傷つくおじいちゃんのパターン。昔の自分は会社の偉いさんで、給料もたくさんもらっていたし、みんなに尊敬されていた。偉かった昔に戻りたい。もっと大事にしてほしい…。

4)変化についていけなくなった
世の中はどんどん変化していく。新しいものごとが生まれてくる。人は経験に基づいて判断する生き物だから、人生経験を積めば積むほど、経験のないことには戸惑うのかもしれない。「昔はよかった」は「昔のことは分かるけど、今のことは分からない」ということかもしれない。

オバマは言った。
「『昔はよかった』は実はそこまでよかったわけではない」
と(あ、でも今のアメリカ大統領よりも昔のオバマの方が良かった気がする)。

今年70才になるうちの母はけして
「昔は良かった」
と言わない。体が不自由になって、バイオリンも弾けなくなって、仕事もできなくなったけど、いつでも
「今が一番いい」
と言う。
「だって今のほうが楽しいじゃない? 『昔は良かった』っていう人は、今が楽しくない人なのよ」
結局そういうことなのかもしれない。

「デイサービスのおばあちゃんたちはね、誰もそんなこと言わないよ。
『いい時代になったなあ』
『ほんまになあ、昔やったらこんなデイサービスみたいなもん、なかったもんね』
『ありがたいこっちゃ』
っていうてはるよ」

本当に! ベッドも車椅子も貸してもらえて、デイもショートも使える時代で本当に良かった。介護保険の前はすべて自分たちでなんとかしなくちゃいけなかったのだ。昔は良かったなんて、私、絶対に言えないわ…。

本日の猫写真。
走り回って鬼ごっこして、くちゃくちゃになった布団で休憩中のふたり。

近頃むちゃくちゃ仲が良いです。

コメント

  1. 本当に、社会保障に充実はありがたいです。

    シシちゃんがさんちゃんよりだいぶ大きいですね!
    仲良くなってよかった!はやくシシちゃんに会いたいな。

    • サンジもだいぶ回復したけど、シシィがそれを上回るペースでデブっております。
      でも今までの猫たちの中で一番ラブラブです!
      かわいいよー!

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