お通夜でやっちまった母

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お通夜があった。母の在宅介護を初めてから葬儀に出るのは4回目だろうか。今回はちょっと久しぶりだったので喪服をそろえるのに苦労をした。いや、喪服は当然持っているし、黒の靴やバッグ、黒のひざかけも用意している。問題は、クッションだ。母の座位保持用クッション。

母は麻痺のせいでクッションの支えがなければちゃんと座れないんだけど、今使っているクッションは赤やピンクばっかり! とても葬儀場へ持ち込める色じゃない。ちょっと小さめだけれど黒のクッションを見つけた、と思ったら、反対側が金色キラッキラのスパンコールだった。でも他にないのでスパンコールを裏向けて使うしかなかった。こんど黒のクッション買っておかなくちゃ…。

さて、夜のことで母も疲れていたのだろうか、お通夜の席では高次脳が軽く炸裂していた。

高次脳機能障害の一つとして「空気を読めない」という症状があり、その代わり母には
『目についた文字を読み上げる』
という困った癖がある。

お坊さんのお経に退屈してきた母は、祭壇横にならぶ花輪を順番に眺め、そのうちの一つの札名を指さして言った。
「ねえ、〇〇協会だって。おもしろい名前だねー!」
おもしろいどころではない。母的には小声だったのかもしれないが、静かな場ではけっこう響いた。〇〇協会の人だって参列しているだろうに聞こえちゃうよ! 私はあわてて
「シーッ、今はだめ!」
と、子供にするみたいに叱ってしまった。知的障碍者関係の人もいっぱい来てたからその人たちには理解してもらえたと思うけど…。

そのあと母は
「明日のお葬式にも参列する」
と言い張った。
明日はデイサービスに行く日だし、私は仕事があるから無理、連れていってあげられない、と言ってもきかないのだ。
「タクシーに来てもらうから大丈夫!」
いや、乗るときも降りるときも誰もいないから無理だよ。
「福祉タクシーの運転手さんにお願いするもん。会場まできたら誰か知ってる人いるやろし車椅子を押してもらうよ」
でも家に帰ってきても誰もいないよ。どうするの?
「なんとかするよ」
私、帰って来るの夕方になるよ?
「大丈夫だもん!」
・・・ぜんぜん大丈夫ではない。

説得することはできなかったので、帰宅してからバイオリンを弾いて、大好きな『相棒』を見て、機嫌をなおして今ちょっと忘れてくれているところ。このまま思い出さないといいなあ…。

今日は妹も帰宅していたので、私はへとへとです。猫は服を着替える手間がなくていいなあ。

コメント

  1. だださん、こんばんはー!

    黒のクッションがなければ、作ればいいじゃない!(マリー風)
    というか、黒い布とかタオルとか、いらない服(!)とかでクッションを包み込む、でOKじゃないでしょうか。包んだのがバラけないようにちょっとだけ仮に縫っておいてもいいですし。

    うちの父は、父の兄が昨年亡くなったときにお通夜でもう焼香をしているにもかかわらず、「もう一回焼香する」とか言い出し、どないしょ~な感じになりました。家族葬なのでそんなに人がいなくてよかったのですが。で、帰ってからも「ワシの通夜だった」とか言い出すもので、お葬式は無理やなってことで私と一緒に家でお留守番でした。忘れっぽいことがこのときは有難かったです。
    それにしても、自分が好きだった人は死んでないと言い張りますが、どうでも良い人は「あの人亡くなったやん」とあっさり覚えているのは何故なの~。。

    • こんばんはー!
      >黒のクッションがなければ、作ればいいじゃない!(マリー風)
      そのとおりですねー!ただし私に針と糸を持たせたら自分の指しか縫いません!
      外から見えるところに使うので、血まみれだとあんまりね…(笑)。

      それにしてもお父様のお話、すみませんが笑っちゃいました。
      お焼香を何度もしたがるのは昔やりました!
      けれども
      >「ワシの通夜だった」
      これは分からない!
      どういうことだーーー!?
      >忘れっぽいことがこのときは有難かったです。
      ありがたいことに母も今日の葬儀のことは忘れているみたいです。
      ほんまに謎が多いですね…。