ヨルダン

アカバでの一夜

無事にアカバ湾を渡り終えたはいいものの。
ビザのごちゃごちゃのせいですっかり遅い時間になってしまった。
Iちゃんと2人、宿探しを始めたけれど
 「FULL!」
満室だ、と言われた。
 「週末だからどこもいっぱいだよ!」
週末?
今日はまだ木曜日だけど・・・?
あ、そうか。
イスラム教は金曜日がお休みなのだった。
だから木曜の夜が週末になるわけだ。
そんなわけで
「フル!」
「フル!」
「フル!」
3軒つづけて断られ
疲れたのと眠いのとお腹が空いたのですっかりへこたれてきた頃に
 「しょうがねえなあ。
  屋上でよければ泊まっていいよ」
と言ってくれる宿があった。
普段は客にルーフを貸すことはないが、今日だけ特別に許可してやる、と。
私一人なら怖いからやめておくところだが
2人なので大丈夫だろうと思った。
それでとりあえず屋上を見せてもらうと
 「わあ!」
Iちゃんが歓声をあげた。
 「きれいきれいきれい!」
夜のアカバ湾が見下ろせた。
うまく撮れなかったけど。
アカバ湾の夜景
 「ここはヨルダン
  あっちはエジプト
  向こうがイスラエル」
3カ国にまたがった夜景なのだと
宿の男が得意げに教えてくれた。
普通の部屋では、こんな夜景をみながら眠ることはできないだろう。
夜景が気に入った私達はその夜、
地上の星をながめながら
コンクリートの地面にボロいマットレスを敷いて眠った。
すごい寒かったけど、なんとか眠れた。
夜が明けても港はきれいだった。
アカバ湾の夜明け
だけど、夜が明けると
 「私達こんなところで寝てたのか」
ってのも、よくわかった。
物置のゴミの合い間にマットレスを敷いていたのだ。
安宿のルーフ
まあ、野宿よりはマシだよ。
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