ジンバブエ

ゾウのいる町

ジンバブエで友達ができた。
彼の名はジェムソン。
電気も水道もない村で生まれ育った地元民だ。
ジェムソンの案内でビクトリア瀑布の上流を歩いた。
雨季で草木がにょきにょきとのび、ジャングルみたいにしげっている。
深い茂みのただなかで
先を行くジェムソンの足が止まった。
 「ゾウがいる」
エレファント、と言われたとき息がとまった。
がさり。
ごそり。
こげ茶色の小山みたいな背中が、ほんの10メートル先で動いていた。
私ひとりなら怖いけど
地元民と一緒だから大丈夫だと思った。
 「先まわりしよう」
彼は開けた道に私をつれていった。
ゾウの横切った道
(ゾウの横切った道。でも逃げるのに忙しくてゾウは撮れてない)
このあたりではわりと大きな道である。
車も通る。
トラックも通る。
そこに、ゾウがのっそりと姿をあらわした。
大きな耳。
みごとにそりかえった牙。
年とった、大きな大きな雄ゾウだった。
ゾウは悠々と車道をわたった。
小さな瞳がチラリと私達を見た。
 「まずい。逃げるよ。
  ゆっくり、ゆっくり」
ジェムソンに言われて
私達はそろりそろりと後ずさる。
ゾウがこちらに頭を向けた。
耳をパタパタさせ、鼻をふりあげた。
巨大な牙がこっちを向いてる!
 「Run!!!!!」
逃げろおおおおお!
私達は大笑いしながら走って逃げた。
ゾウは追ってはこなかった。
 「あれだけ大きいと、群れのボスかもしれないね。
  行く先に危険がないか調べているんだよ。
  でもちょっと怒ってたね」
ジェムソンは笑って教えてくれた。
ジープに乗ったサファリとはぜんぜん違う。
野生のアフリカゾウは
寡黙で神秘的で
すばらしい動物だった。
夢をみたような気持ちだった。
あくる日、泊まっている安宿のスタッフに
 「きのうゾウを見たよ!」
と自慢したら
 「俺も見たよ。
  昨夜は10頭くらいの群れがここの前の道を通ってったな」
と、ふつうに言われた。
 「犬がわんわん吠えてたの聞かなかった?」
アフリカでは、ゾウは、普通に町を歩いているらしかった。
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ゾウのいる町” に2件のコメントがあります

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ゾウさんが普通に横切るなんて!
    ケニアのサファリで車中から見たゾウでも迫力あったのに、歩いてて突然野生のゾウが現れたら悲鳴をあげてしまいそう。しかも群れ?!凄い!!
    シャッター切れなくて残念。
    でも、「Run!!」と言われて慌てて走る姿が頭に浮かんだ。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >なおみさん
    サファリよりずっと怖かったよ。
    私独りならびっくりして泣いてたと思う。
    晴れてたらシャッター押せたんだけど、小雨模様で暗かったからトイデジでは撮れなかったのです。
    動画で残せばよかったなー。

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