弾丸・高知県

弾丸! 高知県の旅(1)

突然、仕事が休みになった。
休みの知らせを受けたとき、ちょうど外でホトトギスが啼いていた。
 目に青葉 耳ホトトギス 初鰹
鰹を食べに高知へ行こう!と決めた。
といっても休みは一日しかとれない。
夜行バスで行って夜行バスで帰る、0泊3日の弾丸旅行を計画した。
出発したのが5月22日の夜。
ひさしぶりに家を離れ、旅人の身分に戻ることがうれしかった。
たった1日であろうとも。
国内旅行であろうとも。
私は旅に戻るのだ。
心はウキウキわくわく湧き立ち、そして頭はガンガン痛んだ
三宮のバスターミナルに着く頃には吐きそうになっていた。
・・・過労である。
このところずっと忙しく、とくにその日のは酷い一日だったから。
心がどんなに軽くても体がついてこられない。
いや、そんなこと言ってる場合じゃない!
私は旅をするのだから!
手近なコンビニで薬を買いこみ、深夜のバスに乗り込んだ。
なんて旅の始まりだろうと思いつつ。
しまんとブルーライナー
席についたとたん眠りにおちて。
まぶしいなあと目を覚ましたらもう朝だ。
まだぜんぜん寝足りないのに!
朝7時、目的地に着いたので仕方なくバスを降りる。
高知県四万十市。
中村という駅だ。

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小さな田舎町の駅。
静けさに満ちた駅だった。
駅前なのにコンビニがない。
中村駅
中村駅
お腹をへらしたまま駅舎の裏へまわると川がながれていた。
表のロータリーにくらべると、そこは目が覚めるほど豊かな景色だった。
静かな川辺
アザミの花やチガヤの穂が咲き乱れている。
オオヨシキリやミソサザイがさえずっている。
清らかな川がさらさらと流れてゆく。
明るくて、にぎやかで、穏やかで、平和だ。
私はこの川岸ではたったひとりだった。
なんにもしなくていい。
なんにも考えなくていい。
決めなくていい。
悩まなくていい。
連絡もメールしなくてもいい。
心配しなくていい。
気を遣わなくていい。
・・・私は一人旅をしているのだ。
川の流れとともに、肩にたまっていた疲れが溶けていくのを感じた。
ちなみに、私の気持ちをポジティブな方向にもっていってくれたこの川の名前は
 『うしろがわ』
後ろ側。
えらくネガティブな河川名でございました。