旅のスタイル

出会いと別れのくりかえし

 「恥ずかしいんだけど、僕はメールアドレスを持っていない」
とムコイは白状した。
 「フェイスブックもやってない」
インターネットにはお金がかかる。
彼にそんな余裕があるわけなかった。
携帯だって持っていないのだ。
 「またいつか会いたいね」
言いながら、そんな日はこないと互いに知っていた。
タンザニアは遠すぎる。
日本は遠すぎる。
じゃあまたね、と握手して別れた。
キボと子供たち
旅してる間中、何度も何度もこんな別れをくりかえしてきた。
握手や、ハグや、キスや、お祈りで、出会えたことを感謝しながら。
ムコイ、ジェムソン、メレッセ、コッティ、ギーチェ、ユヌス、ハナ、マリ、カリ、ロレーナ。
みんな今どうしてるかなあってときどき考える。
世界の人口は70億人をこえたが
一生のうち出会うことのできる人はいったい何人くらいなのだろう?
長いこと接客業をやってきたせいで、
私はあんまり人見知りには見えないだろうし、愛想をふるのも苦手じゃない。
だけどほんとは人間が怖い。
すっごく怖い。
ドミドリーに泊まれないのも結局は怖いからだ。
けれど世界は広くって
ほんとにいろんな人がいて
その人たちが、小さな小さな私の器を押し広げてくれるかもしれないから。
だから。
旅にでるのかもしれない。
ここにいては出会えない誰かに出会うために。
二度と会うことはないけれど
それでも一生忘れない。
そんな出会いをするために。
・・・出会ってくれてありがとう。
1クリックもありがとう。

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