タンザニア

キリマンジャロでキリマンジャロコーヒーを飲もう

キリマンジャロにほど近いモシという町で、ムコイという名のガイドと仲良くなった、(過去記事)
彼はいろんなところに連れていってくれた。
山も
市場も
自分の住む村にも連れていってくれ、
彼の家族にも会わせてくれた。
いっしょにゴハンも食べた。
安い宿も教えてくれた。
お互いにたどたどしい英語で悩みごとを話したり、将来の夢を話したりした。
ガイド料金を払ってない時間までも、なんでかずっと一緒にいた。
最後の日。
 「どこに行きたい?」
ムコイの問いに、私はカフェへ連れていってくれとリクエストした。
 「キリマンジャロ・コーヒーが飲みたい」
キリマンジャロの町だから、どこででもキリマンジャロ・コーヒーが飲めるのかと思ったら、そうではない。
タンザニアで一般的に飲まれているのは粉のインスタントコーヒーだった。
アフリカフェというやつ。
きっと安いんだろう。
だけどせっかくここまで来たのだから、キリマンジャロ・コーヒーが飲みたかった。
彼はが案内してくれたのは観光客用のカフェ。
店の入り口までは一緒に来たが
 「ぼくはこの店には入れない」
とムコイは言った。
私は、コーヒーくらいおごるよ、と言いかけてやめた。
砂埃でくすんだような小さな町の中で
そのカフェだけはびっくりするくらい清潔で、洗練されていた。
店員はタンザニア人だったけど、客はみんな白人だ。
きれいな服を着て優雅にコーヒーを飲んでいる外国人たち。
店の外にひろがるアフリカの田舎町とはまったくの別世界。
ムコイは、そんな世界に足を踏み入れるなんてとんでもないと言った。
それで私は数日ぶりに一人でお茶をした。
キリマンジャロ・コーヒー
コーヒーは、すばらしかった。
旅にでてから初めてのむ本物のコーヒー。
なんという濃い香りだろう!
コーヒーの湯気を吸い込み、体を満たすだけで、すべての細胞がリラックスして息を吹き返す。
・・・自分では気づかなかったけど、今までずっと緊張していたのだろう。
清潔な店でコーヒーを飲むことがこんなに幸せだとは知らなかった。
私はこんなにも、こっち側の人間なのだと思った。
窓の外をみると、小さく青いキリマンジャロの頂が見えた。
そして手前の町にムコイの姿があった。
友達を見つけてしゃべりこんでいた。
チラチラと店のほうを伺いながら。
キリマンジャロを眺めつつ飲むキリマンジャロ・コーヒーは、
ものすごくおいしかったけど、ちょっとだけせつない味がした。
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キリマンジャロでキリマンジャロコーヒーを飲もう” に3件のコメントがあります

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ん~~、僕も「こっち側の人間」なのかも知れないと
    思う事がしばしばありますよ。
    衛生、治安を考えながら旅行するのは当然で、旅行が
    長ければ長いほど疲れるんですよね~どうしても。
    そう、緊張してるんですよね~。
    清潔なベッドで眠る事が出来た時、きれいな食器で食事が
    出来た時。。。ほっとする自分がいますもん!
    chempakaでした!

  2. SECRET: 0
    PASS: 33d62141821cb7df4596bf3497dd470a
    世界で有名な産物が採れる場所は なぜか途上国が多く 彼らはそれを食べられない・・・。
    よくあるハナシですよね。
    どっぷりその地を旅していても ふと日本基準がよぎったりします。
    そんな時、何の為に自分はここを歩いているんだろう よく思います。

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >Chempaka
    その土地に逆らわず旅したいと思うけれど、どう頑張っても日本人はみんな「こっち側」、豊かな側の人間なんですよね。
    ちなみに私はきれいなトイレが一番ほっとします(笑)
    >霧のまちさん
    何のために・・・それを考えるために、ではないでしょうか。
    観光をして「わあ、きれい」、ってはしゃぐだけならテレビ旅行ですむわけですし。
    旅するたびに自分たちがいかに恵まれているか、なぜ豊かでいられるのか、を思い知らされます。

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