エクアドル

ホラーすぎる博物館

山賊が出るだの紛争があるだのと評判の悪いペル~エクアドル国境を難なく越えて
バスを乗り継ぎ、たどり着いたのはクエンカというコロニアルな町だった。
モーニング
(バスターミナルの食堂でアメリカン・ブレックファーストを食べた。豪華。)
この町ではさしたる観光もしなかったが、ただひとつ、大きな博物館に入った。
中央銀行博物館だ。
大きくて。
きれいで。
なんとタダ!
無料!
すばらしい博物館である。
2階がエクアドルの民族と民俗のセクションだった。
ガラスケースに陳列するのではなく、マネキンをつかって見せるおもしろい展示だ。
地域ごとにたくさんの部屋があり、
カラフルな民俗衣装をつけた村の踊りとか
ハンモックに揺られて居眠りする様子とか
子育てしている村の女たちの様子とかが
ぜんぶマネキンによって再現されている。
その部屋に踏み込んだとき
 「わっ」
て声が出た。
真っ暗でおどろいた。
そしてひんやり寒かった。
そこに展示されていたのは、首だった。
人間の首。
「干し首」。
クエンカの遺跡
(博物館の中は撮影禁止なので、近所にあった遺跡を撮ってみた。なぜかニワトリの姿が…)
「干し首」をつくるのはアマゾンの奥地の部族の風習だそうだ。
ガラスケースに入れられた首は本物の人間だった。
びっくりするほど小さく縮んで髪の毛ばかりがぼうぼうと太く、
肌は乾いてしわしわで、まぶたと唇は縫い合わされている。
それでもちゃんと人間の顔を保っていた。
猿とは違うことがひとめでわかる。
干し首そのものはリマの博物館でも見たことがある。
だけど、クエンカの博物館は演出が怖すぎた。
真っ暗な部屋に一条のスポットライトが射しこみ、さえざえと浮かびあがる人間の首。
アルゼンチンの「一人で入ってはいけない博物館」もそうだったけど、
南米の博物館はどうしてこんなにもホラー仕立てが好きなんだろう!
英語の解説も書いてあったけど読むことなんかできなかった。
博物館はガラガラだったから、真っ暗な部屋に干し首とサシで向き合うなんてムリだった。
足早に通りぬけようとした。
そしたら。
ほかにも客がいることに気がついた。
白人のひとりぼっちの女の子。
たった一人で「干し首」を見つめ、魅入られていた。
漆黒の闇の中で、女の子の顔はつくりもののように白く、微動だにしない。
部屋をでるとき振り返ると、彼女はピクリとも動かず同じところに立ち尽くしていた。
・・・干し首よりも、その女の子が怖かった。
ミイラよりもガイコツよりも干し首よりも、
本当に怖いのは「生きてる人間」です。
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ホラーすぎる博物館” に6件のコメントがあります

  1. SECRET: 0
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    この朝食が豪華とは・・・。日本は恵まれすぎ
    ですね。
    昔、首狩り族がアマゾンの奥に住んでいて、
    野球のボール大の顔に頭髪がついている首
    を飾ざり、人肉はご馳走とのことでした。
    日本人でよかったと思います。

  2. SECRET: 0
    PASS: a6b0d1555f08fd67a9b41e7f9bacde18
    今までで一番怖かったのは、二段ベッドの上段で2Lのコーラをぐびぐび飲みながら無言でパンを延々食べてた金髪の女の子
    ケルンのユースホステルで、「ハロー」と挨拶しても無視(涙)
    同室に日本人がいてくれて助かりました

  3. SECRET: 0
    PASS: 33d62141821cb7df4596bf3497dd470a
    はい、言えてます。 何よりも生きてる人間が一番コワイですね・・・。 いろんな所で感じたことがありますね~。
    しかし、いろんな博物館がありますね。

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >にしかわさん
    朝食は、南米はパンとコーヒーだけのコンチネンタルが主流ですので、アメリカンはすごく贅沢に感じるのですよ(笑)
    また後日書きますが、干し首は、魂を尊ぶ民俗の宗教儀式だったそうです。
    人肉食については聞いたことがないのでわかりませんが…。
    犬や猫を食べる国もあれば鯨を食べる国もあり、何を残酷とするかの倫理観は土地により文化により本当に違ってくるものですね。
    >まりなおさん
    無言で延々と…それは怖いですね。
    無視されたときってどうしたらいいかわからなくなりますね。
    いろんな人がいるもんです。
    >霧のまちさん
    ミイラも干し首ももう悪さはできませんが、生きてる人間は酷いことしますからねえ。
    博物館ももっとドライに展示してくれたら見られたのですが、わざわざ怖い演出をしてくるペルー人の意図がわかりません…。

  5. SECRET: 0
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    干し首と言う単語を読んだのは、小学生のころ読んだ週刊少年ジャンプの「アウターゾーン」
    以来です。
    そいつが、悪魔の干し首でしゃべるんですよ。
    もしかしたら、その白人の女の子も干し首と
    対話してたのかも・・・。

  6. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >もんこさん
    そうか、あの女の子は…悪魔に魅入られていたのか…
    いや、怖すぎですって!

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