前にもどこかで書いた話だけれど。
10年ほど前、インド・コルカタ(カルカッタ)でのできごと。
(コルカタの街角)
ヤギの生贄で有名な、カーリー寺院(だったと思う)を訪れた。
私はひとりで見学したかったのに、おっさんが自動的について来た。
英語のうまいおっさんだった。
頼んでもいないのに勝手に案内を始め、勝手にぺらぺらと説明をしてくれる。
よくある『勝手にガイド商法』だと思った。
勝手にしゃべってたくせに帰り際に
「ガイド代を払え」
といってくる手口。
相手をしなければ大丈夫。
でもちょっと違った。
帰り際、おっさんはガイド料ではなく
「お布施を出せ」
といいだした。
渋っているとおもむろにノートを取り出した。
「見ろ。ここを訪れた外国人はみんな寄付金をだしている、もちろん日本人もだ」
アメリカ人。ドイツ人。韓国人。日本人。
いろいろな国の旅行者がいろいろな筆跡で、いろいろな通貨を記していた。
だいたい5千円~8万円だった。
「8万て!アホちゃうか!?」
思わず笑ってしまった。
「払うわけないやん!」
おっさんの顔つきが変わった。
周りにいた男の人たちがおもむろに立ち上がった。
あれよあれよという間に、私は4人のインド人男に囲まれ、別室へと連れ込まれてしまった。
狭い小部屋では逃げる場所もない。
壁際に追いつめられた。
おっさんの不細工な顔が迫ってくる。
3人の男たちも背後から迫ってくる。
すごく臭かったのを覚えている。
おっさんは、壁に
ドン!
と手をついて
「払うのか!払わないのか!」
と迫ってきた。
「払うかボケ!」
私はおっさんの腕をかいくぐり、男をつきとばして逃げた。
腕をつかまれたけど
「払わない!払わない!」
と言いつづけたら解放された。
有名な観光地で、ドアのすぐ向こうには大勢の人がいたから、それ以上は追ってこなかった。
これが私の唯一の「壁ドンされた」体験です。
— インド —
旅行中の「壁ドン」体験(その2)
2015年2月12日