秋吉台の明るい野原から少し下ると、そっけない建物に行きつく。
洞窟へおりるエレベーターだ。
係りのおじちゃんが
「中は涼しいよ! 17℃!」
と教えてくれた。
ひとりで切符を買い、ひとりでエレベーターに乗る。
一人旅なのだから当たり前。
だけど・・・。
エレベーターの扉がひらき秋芳洞に降り立った瞬間、ひとりで来たことを後悔した。
あまりにも真っ暗だったから。
「なんだココ!」
思わず独り言がでた。
完全なる異空間だったから。
暗くて寒くて誰もいない。
なんの音もない。
まるで宇宙空間みたいに。
もしくは『ハリー・ポッター』の宿敵ヴォルデモートが出てくる場面みたいに。
こんな所、ひとりで歩くには怖すぎる!
でもすぐに目がなれて、ひんやりした岩肌に囲まれていることがわかった。
灯りもぽつぽつ点っている。
じきに人の声が聞こえてきた。
反対方向からやってくる観光客だった。
少し心細かったから、親子連れのあとについて歩いた。
秋芳洞はすごく不思議なところだった。
あんなにも明るくて広い台地の下に、こんなにも広いミステリアスな世界が広がっているなんて。
外に出たときは、ちょっと、ほっとした。
— 弾丸・山口県 —
弾丸!萩と秋芳洞の旅(4)
2013年8月17日