今回の旅は東南アジアをまわる予定だったから、何か国分もの情報を仕入れた。
たくさんたくさん資料を集めた。
けれども最初の訪問地・タイに関してだけは、なんの下準備もしていなかった。
タイには何度か訪れているから、出たとこ勝負でなんとかなるだろうと。
バンコクのスワンナプーム国際空港には立派な観光案内所がある。
そこで地図を入手できる。
町までの行き方も案内所で教えてもらえる。
観光案内所は私の味方だ。
楽勝、楽勝。
・・・なのに。
エア・アジアが着陸したのは、バンコクの表玄関・スワンナプーム新国際空港ではなかった。
まさかのドンムアン・エアポートであった。
いわば裏玄関。
ドン・ムアンは旧空港なのだ。
今は主に国内線の発着所となっている。
たとえていうなら、関西空港におりるだろうと思い込んでいた飛行機が伊丹に着いちゃった、てな具合。
古くて。
暗くて。
さびれてる。
立派な観光案内所とかもない。
・・・ここからバンコク市街まで、どうやって行くんだっけ?
古い記憶を掘り起こす。
この空港にも来たのはもう10年くらい前だろうか。
たしかバスが出てたはずだ。
リムジンよりローカルバスを探したほうがずっと安かったはずだ。
でもどのバスに乗るべきかがわかんない。
一番てっとり早いのは、やっぱり、電車だな。
空港の2階から歩道橋をわたり、階段を下りればそこはもう鉄道駅。
ブーゲンビリアの花が咲き、ホームには国王の肖像ががでんと飾られている。
空港の隣だというのにここにはもう観光客の姿はない。
いかにもローカルなタイ国民ばかりが、並ぶでもなくぼんやり電車を待っている。
駅の向こうは寺だった。
参道には市場もあるらしい。
ローカル感たっぷりの『ドン・ムアン駅』。
窓口できっぷを買ったらバンコクまでたったの5バーツだった。
約15円。
だから私はタイが好き。
バンコク行きは30分ほどでやってきた。
臭くてやかましいディーゼル列車。
車両も座席も錆だらけ。
乗客はみんな信じられないほどの気取りのなさで、思い思いに時を過ごしている。
座席にあぐらをかいてるおばちゃん。
お弁当たべてるおじいちゃん。
意味なく歩き回ってるおばあちゃん。
サンドイッチ売りのおばちゃんが私語だらけで乗り込んでくる。
あんまり売る気がないみたい。
みんなのんきでフリーダム。
日本では車内で電話したら怒られるんだっていったら驚くだろうな。
ドン・ムアン~バンコク間の車窓には、下町の風景がながれていく。
がたんごとん。
がたんごとん。
ディーゼルはやかましいし臭いけれど、線路は機嫌よく歌っている。
がたんごとん。
がたんごとん。
楽しい旅の始まりの歌だ。
— タイ・たった1日だけの旅 —
たった1日だけの旅(2)
2013年3月2日
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時間が止まった様な、のどかな雰囲気ですネ。
タイ国民はブミボン国王を崇拝し、いたる所に
写真が飾れていた記憶があります。
親しみを覚える国と思います。
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>にしかわさん
こんにちは!
国王様は真剣に尊敬されていますね。
微笑みの国といわれるとおり、のどかで美しい国です。
どんどん進化はしているけれど、大事なところは変わっていない、タイはほんとに旅しやすい国です。