エクアドルの首都・キト。
赤道直下のくせに、キトは寒い町だった。
標高が高いからだろう。
それに毎日、雨が降っていた。
キト観光の中心は、セントロ・ヒストリコ。
町の中心・・・と呼ぶには小さな広場だ。
ベンチにはお年寄りが、路上には靴磨きの少年たちが、角には物売りのおじさんおばさんが。
大勢の人たちがひしめきあっていた。
広場が狭いせいか、天気が悪いせいか、それとも貧しさのせいか。
キトは、ちょっと窮屈で暗いイメージの町だ。
だけど、キトの人たちは優しかった。
すごくすごく親切だった!
バスを探してうろうろしてたら、おばちゃんが声をかけてくれる。
「どこ行くの?」
セントロ・ヒストリコです。
「じゃあこのバスよ、乗って乗って!」
バスの中では、また違うおばちゃんが面倒みてくれる。
バスを降りると、こんどは違うおじちゃんが道を教えてくれる。
「わからないことがあったら、観光案内所があそこにあるから!」
翌日も、バスターミナルでは何も言わないうちから
「赤道記念碑へ行くならこっちこっち!」
案内しまくってくれたお兄さんがいた。
あ、そういえば
「ほれ外国人!あそこの店においしいものがあるから食べておいで!」
と、インディヘナのおばあちゃんに連行されたこともあったなあ。
クイの丸焼き。
おいしかった。
キトは治安が悪いって聞くけど、幸い、怖いと思うことは一度もなかった。
それどころか常時迷子な私にとって、キトは歩きやすい町だった。
— エクアドル —
エクアドルの首都
2012年6月3日