ペルー

誰か英語を教えてください!

ペルー北部の小さな村で
遺跡付属の博物館に入った。
展示品をマンガで解説してあるくらいで、たいして観るものもない。
マンガで解説
小さな小さな博物館だ。
ツアーなら、こんなところ素通りしてしまうだろう。
この日もお客さんは私だけ。
チラ見だけして通りすぎようとした。
ところが
 「ちょっと待って!」
入り口で待ちかまえていた女の子に呼び止められた。
 「展示物の解説はいりませんか?」
いりません、悪いけど。
どうせ有料ガイドなんでしょ?
私、お金ないし。
 「ちがうの、タダでいいの!」
いやあの・・・タダでもべつに・・・そんな興味ないし・・・。
断ろうとしたけど、女の子は引かない。
 「あのね、私、今、英語の勉強してるんです。
 英語ガイドになりたいんです。
 だから練習させてください!」
ああそう・・・。
つまり私に練習台になれと。
それでも彼女の一生懸命さはいじらしかったし、
言語って、使わないと絶対にうまくならない。
だから協力することにした。
博物館へつづく道
(博物館へつづく道 by VQ1015 R2)
彼女の名前はエリッサという。
なかなか可愛い子だ。
たしかに熱心だし、よく勉強しているようだった。
でも・・・ここはペルー。
南米の人は英語が苦手だ。
使う機会がないからだろう。
エリッサの英語は、私レベルか、もっと下。
人のこといえないけど
ものすごいアレな英語を3~40分、ひとりで拝聴するのって
ほとんど拷問。
内容も半分しか理解できない。
そして折りに触れ
 「ここの発音はどう?」
 「これは英語でなんていうの?」
と教えを乞われる。
・・・わかりません。
 「ええーっ、だってあなた、外国人でしょー?」
いや、外国人でも英語できないんだよ!
威張ってみた。
ら、エリッサが悲しそうな顔になったので、私は慌てた。
 「あっ、あの!
  私の英語は最低レベルなんで!
  私の友達は日本人だけど英語できるよ!
  たぶん明日ここに来るから、あなたのこと伝えとくよ!
  N尾さんていうんだ!」
 「そうなの?ミスター・N尾ね! 彼に教えてもらえるかしら?」
 「彼は優しいからきっと教えてくれるよ!」
 「うれしいわ!」
(以上の会話はスペイン語交じりの超むちゃくちゃイングリッシュで行われました)
というわけで、翌日この博物館をおとずれるはずの旅仲間に彼女のことを託してみた。
けれど・・・
 「ごめん、ツアーで行ったから、博物館はあんまり見なかった」
エリッサ、N尾さんに会えなかった。
そこで、皆さんにお願いです!
もしもペルーのトゥクメ遺跡に行かれたら、
博物館にいるエリッサに英語を教えてあげてください!
彼女は真面目でとっても熱心です。
練習する機会をあげてください。
とはいえ、私がトゥクメを訪れたのは4月のこと。
今は彼女の英語ももしかしたら上達して
一人前のガイドさんになって働いているかもしれない。
可愛いエリッサに免じて
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