私は動物が好きだ。
猫派だけど、犬も好きだ。
隣家のわんこがいくら吠えたってうるさいと感じたことがないほどに。
(可愛い犬もいる)
でもそれは、日本での話。
南米に来てからというもの
すっかり犬嫌いになってしまった。
あれはもう2ヶ月も前のこと。
旅をはじめて1週間と経たない頃のことだ。
イースター島で夕暮れを見た。
モアイの後ろに夕日が沈んでいく。
きれいだった。
ロマンチックだった。
いい気分で帰路についた。
暗くなる前に宿まで帰り着こうと急いだのだけど
一歩遅く
あと50メートルというところで真っ暗になった。
街灯と街灯との間隔が広くて
一部分だけ真っ暗なところがあった。
まるで黒い沼みたい。
でも宿はすぐそこだから、怖いとも思わずにずんずん踏み込んでいった。
そしたら。
突然。
闇の彼方から、狼の咆哮が聞こえてきた。
ウォンウォンウォン!
いや、犬。
だと思う。
たぶん。
自分の足さえ見えない闇の中ではその声は狼に思えた。
しかも声は1つじゃなかった。
吠え声の主を見きわめようとするが
あまりにも暗いので何もわからない。
猛り狂った咆哮だけがぐんぐん迫ってくる。
ウォンウォン!
ウォンウォン!
ウォンウォン!
あわてて逃げようと背を向けたとき
何かに足をとられて転んだ。
いや。
違う。
足をとられたんじゃない!
足を噛まれてる!
顔を近づけたらようやく見えた。
でっかい犬の牙が、ミズノのスニーカーに食い込んでいる。
その事実の意味するところに気づいたとき
足の痛みよりもっと強い衝撃が走った。
ぎゃあああ!
狂犬病の予防注射うってないよ私!
そのとき、人の声がした。
おばさんの声だった。
おばさんはずいぶん遠くの家の戸口にいて
犬の名前を呼んでいた。
こんなふうに。
「ほうら、おいで、ポチ!」
すると狼みたいな犬たち(2匹いた)は
「はあい♪」
一目散におばさんの方へ駆けていった。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
飼い犬かよ!
私は泣きべそをかきながら宿に戻り
すぐさま病院に連れていってもらった。
踝の下に牙の跡がふたつあったけど
幸い靴の上からだったので傷はたいしたことがなかった。
ミズノのスニーカーが私を守ってくれたのだ。
心配した狂犬病についても
「この島には狂犬病はありません。
もしあったとしても、この程度の傷なら大丈夫」
医者は笑って保証してくれた。
翌朝、その家へいって見たら
シェパードに似た大型犬が2匹いた。
犬たちはわざわざ家の中から走り出てきて
道の向こうを歩いていた私に襲いかかってきたのだ。
予防接種はしてあるらしいけど
毎年たくさんの一人旅が被害に遭っているという。
飼い主は謝りもしなかった。
暗闇の中の犬は、中東の変態タクシーよりずっと怖かったです。
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え~っ!!狂犬病打ってないてとこで
思わず、居間で声をあげてしまいました。
大丈夫?!母に話したら、そもそも女の子が
暗い所をひとりで歩いたら危ないよぅと
普通のコメントを言っていたよ。
気をつけて~、お大事に。
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追伸、私も動物好きですが、先日、アレルギー性の血液検査で動物上が陽性+++と発覚しました。
うちにいっぱいいるのになぁ。
どうりで、サンジと遊んだら呼吸できなくなった。
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私は 噛まれこそしなかったけど、怖い目に遭ったことが何度かあります。
特にイタリアのポンペイ遺跡では…。
2~3頭の大きな犬が もの凄い勢いで喧嘩しながら 私たちの周りを狂ったように吼えまくるんですよ。 生きた心地がしなかったです。
大観光地じゃん! いい加減にしろよ~!と
イタリア人のテキトーさを呪いましたネ・・・。
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>T美さん
いやまあ、あの、えっと…お母様は正しい(笑)
サンセット見物って定番観光なんだけど
当たり前の話、暗くなるのが困りものです。
イースター島には交通機関てものがないんで。
アレルギーは私もあります。ほんとは犬も猫もだめ。
でもやっぱり出るときと出ない時とあるから、個体差なんだろうねえ。
>霧のまちさん
それは怖かったでしょうね。
ポンペイはひと気のない場所もありますし。
南米に来てから、吠えかかられたことは何度もありますが、
ペットボトルを振り回したり石を投げたりすれば大丈夫です。
でも、相手がまったく見えない恐怖は忘れられません。