ネムルト山はトルコの真ん中らへんにある山だ。
てっぺんに有名な遺跡がある。
公共交通機関がないのでツアーに参加しなければネムルト山へは行けない。
ツアーといっても、車と運転手をチャーターし、参加者でシェアする形のもの。
参加者が多ければ多いほど一人あたりの料金は安くなる。
だが・・・
「明日? 君ひとりだよ。
だってオフシーズンだもん。
宿とご飯つきで150リラ(約9900円)ね」
高けえええええええ!
鼻血でたあああああ!
なにそれ!
「安くしたかったら参加者を募っておいで」
よーし、探すぞツアーメイト!
まずは同宿の旅人・・・は、いない。
誰もいない。
ガイドブックにも載ってる大手の安宿なのに、宿泊客は私だけ。
隣りの宿も・・・いない。
キャハタの町にくりだすが・・・それでもいない。
観光の拠点となる町なのに外国人がぜんぜんいない!
ネットカフェに入ったら
「わあ、ガイジンだあ!」
って珍しがられた。
ここはほんとに観光の拠点なのか?
仕方が無いから大枚はたいて行ってきたよ、ネムルトダーゥ!
迎に来たのはごく普通の乗用車。
運転手はクルド人のおっちゃんで、英語はほぼまったく通じない。
一応はツアーなので、ネムルト山以外のみどころもいくつかまわってくれた。
まずは、カラクシュ遺跡。
これも円錐形の山のてっぺんに遺跡がある。
円柱とか、ライオンの頭とかが転がってる。
アルサメイヤ遺跡はほんとに私の貸切で
美しい花々とヘレニズムの彫刻を独り占めできた。
遺跡もよかったけど
ドライブがすばらしかった。
うねうねと曲がりくねった山道にはガードレールもない。
猛スピードでぶっとばすのはちょっと怖かったけど
眺めのいいところへくると
クルド人の運転手は車をとめて、見てみろと促した。
クルド語で「きれい」は「ポシェー」と言うのだと教わった。
私はなんどもなんども
「ポシェー!」
を繰り返した。
最後の最後に、ネムルトダーゥ(ネムルト山)へのぼる。
4月下旬。
2000メートルを越える山なので、まだ雪が残っている。
ここへ来て、驚いた。
外国人だらけ!
旅行者だらけなのだ!
あんなに探しても見つからなかった観光客がわんさか山をのぼっていく。
どこから湧いてでたのだろうと思って声をかけてみると
「大きいホテルに泊まってるツアーの人」
がほとんどのようだった。
昼間は別の町を観光していたので出会わなかったのだろう。
「ネムルート山頂でサンセット(またはサンライズ)を迎える」
のが定番ルートだからここだけ人が集まるのだ。
(巨像から転がり落ちた石の首。うしろに体の部分が残っている)
さて、雪があるということは、寒いということだ。
ハンパない寒さ!
猛烈な風!
あまりの寒さに日没を待たずに帰っちゃう人が大勢いた。
フランス人のグループは、飲食禁止の看板なぞ気にも留めずにワインボトルを空けていた。
涙がでるほどの寒さと
叫びたくなるほどの強風にさらされながら
太陽がだんだんと下りてくるのをじっと待ちつづけた。
ようやく太陽の黄色い円盤が山の端に沈んだとき
私の前にいた男の人が、一声、叫んだ。
言葉って不思議なものだ。
何語だかわからないけど、周りの誰もが彼の言葉を理解したと思う。
「バイバイ太陽、今日もいちにちありがとう!」
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ネムルトダーとても羨ましいです。
私がトルコに行った数年前はちょうどテロが頻発していた時期で治安が非常に不安定でネムルトダー行きは泣く泣く諦めたのです…。
一ヶ月もトルコにいたのに東部には一切行けず…。
実はネムルトダーが1番行きたい場所だったのです。
写真見てやっぱり行きたいなぁと思いました!!
もちろん寒すぎない時期に…。
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>タビコさん
あ~、タイミングが悪かったのですね。
そういうことって大きいですよね。
トルコ東部はまだ治安が悪いらしくて私もハサンケイフは諦めました。
ネムルトダーは今はもう大丈夫ですので、またチャレンジしてください!