受け継がれる音楽

オーストラリアに住む妹が動画を送ってきた。
バイオリンの動画だった。
「晴れ舞台です」
って。

妹の次女・梅ちゃん(小6)はバイオリンを習っている。
何事もはっきりしない、ぼーーーっとした子だが、バイオリンだけは大好きでつづけている。習い始めたのは母が倒れた後だし、元気だった頃の母の演奏は覚えていないが、それでも日本に遊びにくるたび、
「おばあちゃん、一緒にバヨリン弾こう!」
と一緒に合奏をしてくれる。素直ないい音で弾く子なのだ。

その梅ちゃんが校内コンクールで一番をとったご褒美に、イベントでソロを弾いたという。妹が興奮して
「立派な綺麗な教会で弾いたのよ!」
と教えてくれた。
動画をみると、真面目くさった顔の梅ちゃんが、四分の三のバイオリンで一生懸命に弾いていた。小学生にしては情感豊かに歌えている。
「この曲かあ!」
私はちょっと感動してしまった。
一緒に聞いていた下の妹も泣きそうになっていた。

梅ちゃんが弾いたのはエルガーの『愛の挨拶』。
かつて母がよく弾いていた曲だ。
若いときは『チゴイネルワイゼン』が得意だった母が、いつ頃からか
「年をとると、忙しい曲はしんどい」
と言ってゆったりした曲を好むようになった。中でも『愛の挨拶』は演奏会でも人気があるようで、倒れる前頃はしょっちゅう弾いていたものだ。

なめらかで柔らかで、高音なのに優しくて。この曲を聴くと、母が普段着のセーター姿で練習していた姿が頭に浮かぶ。その同じ曲を今、6年生の孫娘が弾いている。

妹は言った。
「梅が自分で選んだのよ。どうしてもこの曲が気に入ったから弾きたいって」
簡単そうにみえるが美しく弾くのは難しい曲だ。でも梅ちゃんはこの曲を選んだ。もしかして、もしかしたら、幼すぎて思い出せない記憶のどこかに、おばあちゃんの弾く『愛の挨拶』が残っていたのかもしれないと思った。

セント・ジョーンズ大聖堂

梅ちゃんが『愛の挨拶』を弾いた晴れ舞台は、街で一番古い大聖堂。大きな教会だから音響効果も抜群だったらしい。スマホでもきれいに聴くことができた。
「まあ上手ねえ!」
もちろん母も大喜びだ。
「いつかおばあちゃんの一番いいバイオリンをあげるからね!」
・・・おお、遺産相続の話が始まったぞ?

本日の猫写真。
ちょっとお疲れ気味のサンジ君。

「U子さんのお相手をして疲れました」
うん。私も。

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日記
猫とビターチョコレート

コメント

  1. 御孫さんが続けて下さるのは楽しみでお母様も嬉しいですね
    私の友人も娘さんが2人居て、中2Fにグランドピアノを2台並べるような
    凄いレッスン室を持つのに、2人ともピアノを辞めてしまいました。
    お母さんである友人も素晴らしい先生なのに、介護で教える事を辞めてしまって
    います。「一生懸命教えてもね、最近は皆音楽に行かないのよ~食べられない
    世界でお金ばかりかかるからねぇ~だからつまんない」と

    友人も他の先生にレッスンに通わせたのに、母親がピアノの先生は黙って
    いたのに、娘が練習もせずに行って「ママの方が上手い」と言ってしまって
    破門されたとか
    母親が先生だと難しい部分があるようですね、私なんかは羨ましいです。
    親が音楽の人だと遠回りしない、道をつけてくれるから頑張り甲斐があるように
    思います。

    御孫さんが続けて、お母様の宝物のviolinを弾く日が楽しみですね。
    私も五嶋みどりさんや古澤巌さんの音色が大好きです。

    • 「ママのほうがうまい」!それは破門されますね…
      ご友人は本当に良い先生なのでしょう。
      でも人は、自分が持っていないものを求めるもので。
      十分に満たされていると求めません。
      贅沢な話ですが、我が家はずっと音楽だらけだったので、私はずっと静寂を求めてきました。
      バイオリンはとくにキライじゃないけど好きでもない、いつでもそのへんで聞こえている人の話し声と同じレベルで聞いていました。
      当然のように弾き始めたけど、弾かないという選択肢があることを知らなかっただけで…。
      お友達の娘さんも同じように満たされていたのかもしれませんね。
      もったいないことをした、習っておけばよかったと、きっと何十年か経ってから思うのでしょう。たぶん。

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