新しい書見台と『自閉症の僕が跳びはねる理由』

我が家で一番の読書家は、まちがいなく母だ。暇さえあれば本を読んでいる。ほかにやることがないとも言えるけど。

活字の大きさや、さまざまな理由から、これまでは単行本しか読めなかった。
だが読書をつづけているうちに
「もっともっと本を読みたい。新書とか文庫本も読みたい」
と言い出した。たとえば西村京太郎のサスペンスを読もうと思ったら、単行本よりも新書のほうがずっと多い。もし小さな本を読むことができたら、図書館へいっても借りる本を選ぶのに苦労しないだろう。

以前は小さな字が読めなかったけど、今はかなり回復しているから文庫でも読めるかもしれない。

ただ、ひとつ問題があった。
書見台だ。

母は片手しか使えないため、書見台に本を立てて読む。

単行本を読むにはピッタリだ。
だが、今使ってる書見台は、文庫本を読むには大きすぎる。

ページ押さえの幅が合わないので、すぐに本が閉じてしまうのだ。これじゃあ読めない。

そこで小型の書見台を購入した。


レイメイ藤井 ブックスタンド ブックメイト ブラック BM201B

かなり小さい!
さっそく文庫本を開いてみた。
大きさ的にはちょうどいいと思うんだけど。

・・・どう?

母は
「読めるよ!」
嬉しそうに答えた。
「これがあればなんでも読めるね!」
そうだ、なんでも読める。
ハヤカワ文庫でも。
カッパノベルスでも。
もしかしたら岩波文庫でも。
母の本の世界はまだまだ広がる。

でも実は今、私たちが読んでる文庫本はミステリーじゃない。


自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

知人が貸してくれた本だ。
「これを読めば優子さん(うちの障害者の妹)のことが少しわかるかもしれないよ」
といって。

著者は13才の男の子。重度の自閉症である彼は、会話をすることはとても苦手だが、PCをつかって本を書いた。自分の心の中がどうなっているのか、健常者の疑問に答え、教えてくれる。

「大きな声はなぜ出るのですか?」
「いつも同じことを尋ねるのはなぜですか?」
「どうして目を見て話さないのですか?」

自閉症のひとは自分の気持ちを伝えられないため、周囲の人たちもどう接したらいいのか戸惑う事が多いし、その行動は謎めいて見える。だがこの本を読めば、その謎をひとつひとつ丁寧に、そして明確に説明してくれる。謎めいてみえる行動すべてにちゃんと理由があることがわかる。なるほどそうなのか、そうだったのかと思いながら読んだ。

一番印象的だったのは
「何が一番つらいですか?」
という問いに対する答え。

僕たちのように、いつもいつも人に迷惑をかけてばかりで誰の役にも立てない人間が、どんなに辛くて悲しいのか、みんなは想像もできないと思います。
(中略)
側にいてくれる人はどうか僕たちのことで悩まないでください。自分の存在そのものを否定されているようで、生きる気力が無くなってしまうからです。
僕たちが一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです。

そうでありながらも、
「自閉症の人は普通の人になりたいですか?」
という問いにこう書いている。

もし自閉症が治る薬が開発されたとしても、僕はこのままの自分を選ぶかもしれません。
(中略)
障害のある無しにかかわらず人は努力しなければいけないし、努力の結果幸せになれることが分かったからです。
(中略)
自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいのです。

うちの妹はどうなのかなあ。この本の著者と違って、妹は知的障害が重いし、母そっくりのスーパーポジティブだから、あんまり難しいこと考えてなさそうに見えるけど。

会話が難しいのは妹も同じ。
深夜にギャーギャーお大声で叫ぶのも、きっとなにか理由があるんだろうな。
「静かにしろとか口を閉じろとかいわれても、そのやり方がわからない」
と著者は書いている。
・・・うん・・・。

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