ちょっと怖いドラマ

「お年寄りは時代劇と演歌が好き」
というのは思い込みだ。
現代の高齢者は、とくに女性は、ドラマを見る人も多い。認知症がすすんでストーリーが理解できなくても「右京さんの顔をみてれば幸せ」な『相棒』ファンもいるし、絶対に失敗しない『DoctorX』は人気ナンバーワンのお医者さんだ。

私が訪問介護に入るといつも同じドラマを見ている利用者さんがいる。再放送を見てものすごくハマっちゃったんだそうだ。内野聖陽が主演の『臨場』。10話くらい録画してるはずなんだけど、お気に入りなのか、たまたまそういうローテーションなのか、私がヘルパーで入るとだいたい同じ回を見ている。

2010年の古いドラマなんだけど、その内容が衝撃的!

一人暮らしのおじいさんが亡くなった。自宅での餓死。「なぜ餓死なんか?」「ヘルパーが自殺を助けたのでは?」と疑いが持ち上がる。

実はおじいさんは末期癌だった。心細いし寂しいしつらい。それなのに実の娘たちはちっとも顔を見せないし、たまに現れたと思ったら「家を売って金にしろ」などと言ってくる。自分の居場所はもうないのだと、死を選んだのだった。

餓死を選んだのは、自分の孤独を娘たちに見せつけるためだった。ヘルパーはまだ息のあるおじいさんを発見したが、おじいさんが「このまま死なせてくれ。これが本当の介護だ」といったように思えて、助けずに立ち去った。(臨場』第二期 5話「カウントダウン」)

父の死は自分たちのせいだと言われて、娘たちは叫ぶ。

「まるで私たちがお父さんを放っておいたみたいじゃないの!」

「私たちなりに世話してきたつもりなのに!」

・・・なんかもう、娘さんたちに同情しちゃった。おじいさんはたしかに気の毒だけど、もっと大事にしてほしかったのなら、もっと会いに来てほしかったのなら、娘たちとより良い関係を築く努力をすべきだったのにと思う。ドラマでは描かれてないけど、きっと過去に何かがあって拗れたんだろう、だってよくあるパターンだもん(知らんけど)。死なれたらもう、反論もできなくて一方的に悪者にされてしまうんだから、娘も気の毒だよ。

毎週とはいえ、仕事しながらチラチラ見てるだけなので、間違ってたらごめんなさいファンの人。

さて、Aさんはこのドラマが大好きで。よりにもよってヘルパーが来てる時間帯にこればっかり見てる。 私に見せているとしか思えないタイミングだ。「なんでコレなの! 餓死とか選択しないでよAさん!」と、仕事をしながらつい考えてしまう。私、ぜっっったい見つけたくない! ビービー泣きながら救急車呼んじゃうよ!

本日の猫写真。

ヒーターの前の一番あったかい場所を横取りされて、ムッとしているサンジくん。冬の場所取り合戦も、そろそろ終わりです。

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猫とビターチョコレート

コメント

  1. 娘達は、週1回の介護ヘルパーを頼むとともに、介護施設への入居を勧め、家の売却を催促する。
    末期癌の老人は、思い出が一杯の我が家で、しかも自分が最も気に入っていた場所・ソファで死にたかった。
    その場所からは、妻の遺影、家族全員の楽しかった頃の写真、娘2人の柱に刻んだ背比べの跡とキャラクタ・シール、柱時計・カレンダー、そしてタロ・・・の全てが、見通せる。

    何処へも行きたくない。
    何も失いたくない。
    できることなら時間の流れを遡りたい。
    だけど、それが叶わないなら、せめて思い出の詰まった、一番大切で一番大好きだった場所で命を終わりたい。

    8年も前の放送ですが、体が弱り、権威も失せ、誰かの世話にならなければ充分に生活することも出来なくなってしまったお年寄りの不安と悲しみと寂しさを代弁しているような回でした。

    それぞれの立場からは異なる感想が噴出するでしょうけどね。
    うちの婆さまも爺さま同様自宅看取り熱望ですけど、看取るのって嫁のワタシですよね〜。病院で逝去して頂いた方が色々確かるんだけどなー。
    (大体、婆さまの時もすぐに主治医が死亡診断書書いてくだされば良いけど、突然だと司法解剖になっちゃうじゃないですか。でもそれは嫌だって 困)

    • おお、POTEさんお詳しいですね!
      すごくせつなくて奥深い、悲しい話でしたね。
      私は耳で聞いてるだけで画面は見てないわけですが、それでも『臨場』はよくできている、素晴らしいシリーズだと思います。
      普通のドラマだったら「かわいそうだなあ切ないなあ」で終わるところなのに、深くリアルに作り込んであるからこそいろいろ考えてしまいました。

      おじいさんがどういう身体状態かわからないのですが、訪問が週1回って少なすぎだと思います。
      実際に、独居で末期のお宅に訪問に入っていたことがあるんでますが、土日も毎日でした。
      毎日ヘルパーが入ってたら餓死はなかったなあと。

      ドラマはおじいさんの視点から作られていますが、もし、娘たちなりに「できるだけのことはやっていた」のだとしたらどうでしょう?
      苦しい生活のなかで離れて暮らす父の介護。
      どんなに頑張っていてもそれがまったく伝わっていない、という話だったら・・・
      「同居しよう」と言っても「自宅から離れたくない」と断られ、独居は危険だとお父さんのためを思って入所をすすめたのだったら・・・
      自分としてはできるかぎり顔を見せているつもりなのに
      「ちっともきてくれない、放っておかれてる」
      と思っているのだったら・・・。
      『遠距離介護の怖い話』になっちゃいいますね。
      たぶん、ぜんぜん違うのでしょうけど(笑)。
      現実には、思いのすれ違い、認識の違いは大いにあり得ると思いました。

      自宅で死にたいって、難しいですね。
      看取ってくれる人のことまで考えることがきればいいんですが。
      >すぐに主治医が死亡診断書書いてくだされば良いけど、突然だと司法解剖になっちゃうじゃないですか。
      そうなんですか!
      たしかにそれは嫌がる人が多そうですね。
      いろいろと問題があるんですね。

  2. 末期ガンなのに訪問週一は現実有り得ませんね(苦笑)
    映画だと役作りで減量とか有りますが、どうしてもドラマは健康な俳優さんが演じているので実際の患者さんと比べて見栄えは良すぎます。

    うちの爺さまは体調悪化から一週間ほどで息を引き取りました。
    その間、ドクターもクリニックの看護師さんも何度か来て採血したので、CRP数値とか把握出来ていたお陰で、すぐに死亡診断書を頂けましたが、前日までご機嫌よくデイに通っていたのに、夜中自室で倒れていたのを発見された親戚は死因が分からず司法解剖に回されましたし、
    施設入所で夜間巡回の際、呼吸停止で発見された知人は家族の意向と無関係に警察介入事案になり、
    在宅でずっとお世話になっていた訪問医から容体悪化でお別れが近いと入院を勧められ、家で送りたいからと搬送を断ったところ「では私は手を引かせて頂きます」とバックれられました。

    理想の臨終って誰にとってなんだろうとつくづく考えさせられます。

    • バックられたんですかーー!
      「最期までみます」
      と自宅での看取りを応援しているお医者さんもいるそうですが、少ないのでしょうね。
      それだけ大変なことなのでしょう。
      私が訪問していた末期の方も、最期だけは病院でした。
      警察が来ちゃったら大変だあ…
      そういえば昔、ゴルフ場のお客さんに家から電話がかかってきたのですが、
      「同居の親父が家で死んだらしい。警察きてるんだって。嫁さん大変やわー」
      と言いながらプレーを続けていました。
      今の私だったら「すぐ帰れ!」とクラブ投げつけてるかもしれません。

      >理想の臨終って誰にとってなんだろうと
      本当に…