夢をみている

Eテレの『香川照之の昆虫すごいぜ!』という番組が話題になっていた。香川照之といえばドラマで引っ張りだこの大物俳優なのに、子供のような無邪気さで虫とたわむれたり、昆虫への愛を熱く語りまくったりする番組だという。

虫は嫌いだけど香川照之がおもしろそうだったので、初めてその番組を見た。今日は「タガメ」の回だった。田んぼや川に棲む虫で、香川さんはじゃぶじゃぶと川へ入り、四苦八苦してタガメを捕まえていた。その虫を見たとき私は…

「あ、これ食べたやつや!」

と思った。

20年ほど前に妹とタイへ行ったとき、電車の中でお弁当をひろげた家族がいた。おいしそうだなと眺めていたら、奥さんが

「おひとつどうぞ」

と差し出してくれた。「いただきます!」とありがたく頂戴してつまみあげたら、虫の唐揚げだった。東南アジアでは虫食もわりと普通なのだけれど、私は初めてだったからビックリして叫びそうになった。

「ギャー! ゴキブリだー!」

あれはゴキブリではなくて、タガメだったのか。20年も経ってようやく判明した。ありがとう香川さん!

ちなみにタガメの唐揚げは、味も食感もエビの頭みたいだった。頭と内臓がまずくて吐きそうになった。悪いけど、虫は、見るのも食べるのも勘弁してほしい。

シシィは今日も虫さんを追いかけて走り疲れました。でもちっとも捕まえられません。

・・・そんなことを思い出しつつ。

私はこのあいだバンコク行きの航空券を買った。もうちょっと先の話だけれど、日帰りでバンコク往復をするという超・弾丸旅行を計画しているからだ。無謀だけど、仕事があるしお金はないし、母はそんなにショートを使えないから、日帰りしか方法がない。

実現できるかどうかはわからない。いろいろあるから。でも今、夢をみることができている。

嫌なことや不安なことがあるたびに、私はバンコクの空を思い浮かべることができる。マップをひらいて、空港へ降りたらまずどこへ行こう、どのルートをたどり、どの店で何を食べよう、なんてことを考えることができる。懐かしい街の雑踏の中にいる自分が…旅をしている自分が想像できる。この5年間ずっとできなかったことだ。

バンコクのワット・アルン。行くヒマあるかな?

夢をみることは、それに向かって時を過ごすことは、こんなにも楽しく、力の出るものなんだ。

あ、でも今回はタガメは食べないつもりです。たぶん。